北ア南部前衛 浅川山 (1743m) 2011年3月5日
所要時間 7:21 別荘地−−7:35 林道(1160m)−−7:42 林道を離れる−−7:55 林道(1270m)−−8:09 林道を離れる−−8:41 林道(1530m)−−9:04 林道(1600m)−−9:24 浅川山 9:50−−10:36 林道(1160m)−−10:41 別荘地
概要
南側の別荘地から往復。林道に出るまでは薄い雪と薄い笹で無雪でも問題無し。林道に出てからは稜線伝いに行こうとしたが雪が少なく笹が出ている所が多く、無理そうな場所は林道を歩いた。標高1400m以下の斜面では雪が少なく笹の上に古い雪が乗った程度で、踏み抜くと笹の下の空洞まで落ち込んで脱出に苦労した。それより上部は積雪充分で締まった雪の上に数cmの新雪が積もった程度でつぼ足で苦労なく歩けた。山頂付近の尾根上は熊棚多数。山頂は東西の展望良好で真っ白な常念岳〜大滝山が眺められる。
浅川山は横通岳の前衛峰にあたるが、まあ常念岳前衛峰と言っていいだろう。標高は1700m強あるが山頂直下まで林道があるので無雪期なら簡単に登ることができる。ただ、林道にゲートがあるかどうかは知らない。この山はわざわざ雪がある時期に登る必要は無いかもしれないが、下界では花粉が飛んでいるこの時期には花粉症患者にとっては意味がある。また、先週の大明神山の経験からして雪の質、量もスキーを使う必要が無い程度と予想され、私にとってはうってつけの山だった。2月の3連休中日、雪が降りしきる中をDJFがスキーで往復しているが降雪直後で積雪で苦労したようだが、今の時期というか今なら好天が数日続いているのでそこそこ雪は締まっているだろう。
今週も梓川PAで仮眠し、スマートICは利用せず豊科ICまで走って下道に出て常念岳一の沢登山口を目指す。DJFは満願寺方面から山頂直下まで通る林道を歩いたのだが、積雪のため結構な距離を歩かされている。その時より林道の積雪が減っているのは確実だが、これまた先週の経験で標高800m以上では日当たりの悪い場所は雪が残り、車が通った後はアイスバーンになってしまっているだろう。2WD車では凍った坂が出てきたらスタッドレスでも通過は困難で、長い林道歩きよりもショートカットできるルートを取ることにした。林道南端の下部には別荘地が広がっており、ここから標高差100m弱で林道に出ることができる。この時期の別荘地が除雪されているか不明だが、別荘地入口のゴルフ場までは除雪されているはずなのでそこから歩いてもいいだろう。その別荘地入口は一の沢登山口へ至る道の途中にある。
邪魔にならない路側に置く | 最高点付近まで歩いて登る |
ここから車道を離れる | 残雪の斜面を登る |
ゴルフ場を通過してなおも上がり、広い道が右に分岐する箇所が別荘地入口で、一の沢登山口方面はここより先は除雪されていなかったが轍はあった。まあ、この時期にこのルートから常念に登る人がいるのかは不明だが。残雪期の一の沢は前常念から落ちてきたデブリで埋め尽くされており、雪崩のリスクが高いからだ。雪崩が落ち着く前はどこかの尾根から登るのが得策だろう。一方、別荘地の道はきれいに除雪されノーマルタイヤでも問題なく登れる乾いた路面で、高い所を目指してどんどん入っていき、最高点付近で車を置ける適当な場所が見当たらなかったため少し戻って坂の途中のカーブした路側に車を置いて歩くことにした。斜面はほとんど笹が出てしまっているが、小尾根の東側は雪が乗っているのでそちらから登ることにしよう。
小尾根に乗る | 雪が無いと笹だがまだ薄い |
林道に出た。轍無し | 尾根の続きは完全に無雪 |
別荘の脇を通って雪の緩斜面に取り付きジグザグに上がっていく。積雪は数cm程度のようだが締まって歩きやすい。尾根に出ると踏跡があるかと思ったがそのような気配はなく、雪が消えた地面は薄い笹が覆っていた。僅かな積雪でも古い雪のようで笹を寝かせているので雪の上の方が圧倒的に歩きやすいので左右に雪を求めて曲がりくねったルートで進んでいく。すぐに急な登りとなって雪が消えた笹薮を登るがまだ藪というほどの鬱陶しさではなく簡単に突破、そこには林道があった。路面は積雪に覆われて車で入るとスタック確実だろう。新雪の下には轍のようなものが見られるがたぶんスノーモービルのものだろう。
次の左カーブで浅い谷に取り付く | 東向き斜面は比較的雪が付いている |
再び尾根に乗る | 廃林道 |
この先の尾根は雪が消えて笹が出てしまっているので雪のある斜面が出てくるまで林道を歩く。幸い、次のカーブで斜面に雪が登場、小さな谷地形をジグザグに登っていく。つぼ足でも踏み抜くことはなく快適だ。尾根に乗ると何となく道があるような気配で、無雪期は踏跡があるのかもしれない。緩やかな尾根を登ると右手から廃林道が登場、どこからやってきたのかは不明だ。まあ、雪があれば廃林道だろうと生きている林道であろうと藪であろうと大差無しだが。
標高1270mで再び林道に出る | 黒沢山方面 |
廃林道を少し巡って標高1270mで再び林道に合流。この先の尾根は笹が出ているので再び雪を求めて林道歩きだ。林道はほぼ完全に雪に埋もれており、大半の箇所はほとんど沈まないが場所によっては1歩踏み出すと足首くらいまで沈む。なぜか轍の上よりも土手のように盛り上がった上の方が沈みにくい。林道上にはカモシカの足跡があちこちに見られ、兎ではない小動物の足跡も多かった。サルの足跡もあったな。
この谷を登った | でも雪が少ない |
気温は-8,9℃ | 左岸側に移動 |
送電鉄塔が立つ標高1340m付近の尾根もすっかり笹が出ており斜面に取り付く気になれなかったのでそのまま林道を歩き、やっと雪が出てきたのは地形図の1324m標高点のある谷で、部分的に雪が途切れた場所はあるがそこそこ繋いで歩けそうだ。谷は僅かながら水が流れているが流れは細く問題無し。雪がより多いように見える右岸側を登り、雪が途切れたら左岸に移った。左岸側は谷近くは笹が出てしまっているので薄い雪の急斜面を登るが、笹に乗った雪は薄く、寝た笹の下は空洞になっていて雪を踏み抜くと股まで突き抜けて脱出が面倒だった。できるだけ雪の層が厚いところを選んで進んだ。気温は-9℃くらいだが日差しがあって体感的にはずっと暖かかった。
西側斜面から谷を振り返る | 尾根に乗る |
沈みはこの程度しかない | 目印 |
やがて左手(西側)の斜面に雪が連続するようになったので谷沿いを離れて唐松植林帯の尾根に進路変更。徐々に積雪量が増えて笹が完全に埋もれれば自由に歩けるようになる。固い残雪の上に数cmの新雪が積もった状態で足が沈むこともほとんどなく背中のスノーシューの出番が無い。尾根に乗ると溝のように凹んだ筋がジグザグにあり踏跡だか作業道だかがあるらしい。今日初めての目印もあった。標高1500mを超えると充分な積雪量に達し笹の姿は完全に消えた。
標高1530mで林道と合流 | これより上部は熊棚多数 |
なだらかな尾根を行く | 唐松植林が続く |
標高1530mで林道と合流。林道脇の尾根は最初だけ少し藪っぽいがつぼ足なら問題なく突破でき、林道はカーブを横断しただけで再び尾根に乗った。ここは尾根上と尾根の西半分は唐松植林帯で東斜面は落葉樹の自然樹林帯で、落葉樹には山頂までの間で多数の熊棚が見られた。一頭の熊の仕業なのか複数頭の仕業なのか不明だが、これほど高密度で大量の熊棚が密集しているのは見たことがない。
標高1650mで再び林道と合流 | 削られた尾根取り付き |
林道から見た常念岳(クリックで拡大) |
標高1650mで再び林道と交わる。ここの展望が本コース中一番で、ヘアピンカーブの中心点に当たる法面上が小雪庇になっていて展望台だった。元の標高が低いので常念より西側は見えないが大滝山から横通岳にかけては間近に見ることができた。DJFは雪の中でこの景色が見られなかったとは残念だ。
自然林の尾根を登る | 山頂近くは雪庇登場 |
浅川山山頂 | 浅川山から見た常念岳 |
再び尾根に乗ってなだらかな自然林を上がっていく。ここは尾根が痩せているようで東側には雪庇が発達していた。傾斜が緩んで水平移動になり山頂の雰囲気が出るが標識等がなくなおも先に進むと尾根が広がって左に緩く曲がる場所に出た。この先は緩い下りで間違いなく最高点、ここが浅川山山頂だった。DJFのリボンがあるかと思ったら見当たらず、それどころか山頂標識も無い。唯一、木の幹に色が抜けかけたリボンが2つ巻かれているのと雪面に棒の頭が出ていた。東西の展望が開けて白い常念岳を見ながら休憩するのに最適だった。
別荘地に戻る。南斜面は笹 | 車を置いた路側 |
下山も同一ルートを辿った。日が高くなって雪が緩んで踏み抜きが多発するかと思ったらそんなことはなく、帰りもスノーシューの出番はなかった。尾根上や林道の足跡も人間のものは私だけで好天の土曜日だったが誰とも会わなかった。